傘はいらない
土砂降りの雨に打たれ
君と歩きたい
前も後ろも見えない
強い雨のカーテンは
僕たちをふたりきりにしてくれる
都会のど真ん中に
隔絶した二人の世界
僕はここで君を抱く
折れそうになるくらいに強く
そして熱い口付けを
誰にも気付かれず
僕たちはひとつになって
ふたりは永い眠りから覚める
スコールは通り雨
やがて雨上がりの青い空
僕たちは心の底から笑う
ずぶ濡れのお互いを見て
これほど楽しいことはないと言うばかりに
それは蝉時雨を聴き見た僕の夢
+11+
この文章にはサアラ様が返詩「夢を見せて」をしてくださいました。
ありがとうございました。