君よ、僕が君のことを忘れることはない
03/08/14 (有りのままに綴る 03) 


  その夜の契りは深く心に刻まれているのです
  どんなに離れていても
  僕が君のことを忘れることはないのです

  旅の途中
  僕は山間の峡谷で咽び泣く君の声を聞いたように感じました
  轟々と流れる川の音が僕の耳に幻聴を起させたのかもしれません

  君は泣いていたのですか


  僕は君が泣いているのだと思って天を仰ぎました
  どんよりとした灰色の雲が雨を降らせていました

  雨は僕を濡らしました
  寒々と濡らしました
  僕の身体は冷たくなりました


  そう君は泣いていたのだ
  僕はそれを知っている

  峡谷に立ち込めた霧は僕を包み
  僕は吊橋の上で幻のように君の姿を見たのです

  泣いている君

  力のない僕には君を救う術がない
  ただ君を想って詠うだけ
  拙い詩を詠うだけ

  僕は涙を流して詠いました
  拙い詩を詠いました
  何遍も何遍も詠いました
  君を想って詠いました


  木霊になって届けよ
  君にこの想い


  一瞬僕は飛んだような錯覚を覚えました

  君の香りがしました

  ああ懐かしき君よ

  僕は君を抱きしめて無我夢中で唇を重ねる、、、



  ふっと気がつくと
  僕は吊橋の上で風に吹かれていました


  君よ
  僕が君のことを忘れることはないのです

  どんなに離れていても


+03+

蒼い影様の「忘れないで」よりイメージ。
BACK
NEXT+ +TOP