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『哀しい七夕の夜』(8-3)(純雪love story 2004七夕企画)

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「今年は、逢えないわね。」
「そうだね、」

「イヤよ!」
「・・・イヤ?」

「って言ったら貴方はどう言ってくれるかな、って。」
「ふーむ。一緒に星を見よう、かな。」

「だけど、!。時差があるじゃない。」
「僕が起きているよ。きっと。」

「うそ、貴方、いつも寝ちゃうじゃない、
 子どもは寝る、なんて言って。」
「それとこれとは別だよ。」


「日本に帰ろうかな、その日だけ。」
「また、そんなことを言う、。」

「切符、買っちゃった、って言ったら、純は怒るよね。」
「当たり前だ、相談もなく。」

「じゃぁ、今、相談。」
「ふぅ、。あのね、僕たちの約束、憶えているかい?
 お互いに生活があるんだから、
 それを絶対的に尊重すること。」

「分かっているわ。」
「僕たちが逢うためだけの理由で、
 君が来るのは賛成できないな。」

「でも。年に一回だけ逢うっていう約束もあったわ。」
「そりゃそうだけど...」



そりゃそうだけど。
分かっているけど。

イタリアと日本だよ。
僕が逢いに行ければいいが、
その理由がないんだ。



・・

「私、髪伸びたのよ。」
「暑くないか、そっちも夏だろうに。」

「だって、貴方が好きだから。」
「僕の為にってか。なんだかすまないね。」

「すまないなんて言わないで。
 女が好きな人の為に髪を伸ばせるなんて
 最高の幸せなんだから。」



そういうものかね。
うれしいことはうれしいが。
どうしよう、僕はこの間散髪に行っちゃったぞ。


「私、今度貴方と逢う日まで、
 髪、切らないって決めたのよ。」
「そんな。」

「貴方が切れ、って言うなら切るわ。」
「そんなぁ。」

「ね、許して。」
「何を?」

「そっちに行くの、」
「・・・」

「七夕なのよ。年に一度なのよ。」
「・・・」

「泣いちゃうから。もう。」
「・・・」


本当は。
俺が行きたいんだ。
お前にばかり無理させたくないんだ。
それが言えない。

その想いを。

君は分からない。





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2004 tanabata  Presented by  Jean-Jacques Azur