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『哀しい七夕の夜』(8-2)(純雪love story 2004七夕企画)

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ユキからメール。

「今夜話したい。」
「うん、僕も話したかった。」
「何時がいい?」


何時がいい、って言ったって時差が7時間ある。

「そちらの都合でいいよ。」
「じゃぁ、こっちで6時。はそっちで何時?」

「夜中の1時だよ。」
「ええ!そーなの!そんな遅いの!」

「つっ。あのね、ユキ、そっち行ってもう半年近くなるのに、
 そんなにビックリする事じゃぁないだろうに、。」
「だってだってだって、じゃぁ、これまでもそうだったの?」

「そうだよ、これまでもそうだった。」



ユキは相変らずだ。
何処へ行ってもマイペース。


「ごめんなさい、そうだったの、、
 いつも遅い時間にお話ししてたのね、」
「いや、いいよ、滅多のことじゃないんだし、
 たまにだったんだし。」

「今は、今は駄目なの?」
「うん、今でいいね。」


僕はいつもの公園にいました。

夏の日差しが眩しくて、
丁度ひと時の涼を木陰でとっていた時だったのです。


「じゃぁ」と電話を掛ける僕。

久し振りに聞くユキの声。
懐かしさに指が震えるようで。



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「もしもし。純?」
「そうだよ、」

「今の私、どうしてるかわかる?」
「さあな、猫の耳掻きでもしているのかな。」

「ううん、そんなんじゃなくって。」
「どんなの?」

「うーん、うれしくって、顔がほころんでいるのよ、」
「そっか、」

「貴方は?」
「あー、僕もだ、。だが、此処は公園だ、
 一人でにやけているのもヘンだから、
 必死に顔が緩むのを堪えているよ。」

「ふーん、貴方の顔、目に浮ぶわ。くすくす。」
「僕も、だよ。クスクス。」


遠く離れていても変わらぬ会話。

其処に君がいるようで。

僕は思わず抱き締めたくなるよ。





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